①『北はりまの地しょうゆ』へのこだわり
醤油は元来、大変地方色の強い調味料です。各地域で作られた醤油は殆どその地域で消費される「地産地消」の大変性格の強い調味料なのです。(代表的なのが 南九州の黒砂糖の入った醤油や北九州の甘露醤油、愛知の白醤油や溜醤油など)当地は播州織の産地であったため九州地方との縁が大変深く結構昔から甘めの味付けを好む土地柄でした。そのため調味料としての醤油も自然と甘めの味付けとなり、旨みであるアミノ酸なども加えて、加西を含む北播磨地域の消費者の好みに合うよう醸造してきたようです。こういった甘く旨みが強い醤油は「混合醤油」と呼ばれ、今でも九州・中国・北陸地方では盛んに製造されています。
当店の濃口醤油・淡口醤油・甘口醤油は地域のお客様に今なおご家庭の味として重宝していただいております。大変地域性の強いこの「混合醤油」をはじめ「本醸造醤油」「さしみ醤油」「だし醤油」など北播磨の家庭や地域の味となる醤油を何代にもわたって作り続けています。
②究極の手作り醤油『古式しょうゆ』へのこだわり
醤油醸造は、明治以降日本が近代化していく中で徐々に機械化され大量生産・味の均一化へと進んでいきました。原料の大豆、小麦は戦後、国策で国内ではなく海外から輸入することを強いられ現在もそれは続いています。また、核家族化や調味料の多様化で、大手メーカーが低価格を追及し、短期間の発酵で醤油を絞ることが主流となりました。その為 江戸時代に確立された伝統の醸造方法は殆ど無くなってしまい、同時に醤油が持つ本来の風味は人々から忘れ去られてしまいました。
当店は創業百年の節目を迎えます。日本の伝統調味料である醤油の原点を見つめ直す事が当店の使命ではないかと考え、古式製法に挑戦し続けています。
まず肝心の原材料、丸大豆と小麦、塩は地元で調達することになりました。古式醸造の製造方法や古道具は本や博物館でしらべる一方 東京の「醤油技術センター」の方や古老の醤油職人の方に相談しながら作業を進めていきました。カマドも手作りしましたが、中でも難しかったのは昔の「天秤式もろみ搾り機」の復元です。これは大工さんと一緒に試行錯誤した労作です。次世代へ伝承しなくてはならない古式醸造醤油の復活には欠かせないものなのです。
当店が始めた最古式醸造は醤油に関する資料によると江戸時代に確立された醸造方法と記されています。この醸造方法を一言で表すと「究極の手作り醤油」です。まずカマドで半日煮た地元加西の「丸大豆」と鍋で炒った小野産「小麦」に麹菌を混ぜ合わせ「麹室」で3日間発酵させます。それを赤穂の塩水の入った杉樽の中に入れ、定期的に櫂で混ぜながら寝かします。温度管理などは一切せず、自然の力のみで3年もの長い間 寒暖を繰り返し、熟成・発酵させます。そして熟成を終えたもろみは、復元した「天秤式もろみ搾り機」で石と木の重みだけで、ゆっくりと搾り出します。こうして、じわじわ滲み出してくる「古式しょうゆ」は時代を超え現代に蘇ります。雑味のないまろやかな味は、本物の醤油を探しておられる方々に、必ずご満足頂けるものと確信しています。
③『ご家庭まで配達』へのこだわり
高橋醤油の特殊な一面は昔からの商売の方法が今もなお脈々と続いている点です。市内のみならず近隣の市町村にまでご家庭、一軒一軒玄関まで手渡しで手作りの醤油を届けています。時にはお茶を頂き、野菜をもらったりすることもあります。昔からのお得意様の中には半年ごとの集金「節季払い」という方もおられます。こうしたお客様とのコミニュケーションから、生の声を聴き、商品に反映させ味の改良も行ってきました。まさに当店の醤油はお客様の声から生まれたものだと思っています。代々のお得意様のおかげで今も商売出来ることがありがたいと思っています。これからもお客様の笑顔を大切に手作り醤油を1本、1本配達していきます。
④『リユース瓶(省エネ・省資源)』へのこだわり
当店では木樽からガラス瓶へ醤油の容器が変化した当初から、リユース瓶にこだわり続けています。使って頂いた醤油瓶はお客様から回収しています。こうしたリユース瓶を使用することは、買っていただくお客様に少しでも安くお醤油が届くようにとの先人の考えで始められました。この取り組みが今では現在盛んに叫ばれている「省エネ・省資源」のリユース活動の先端となっているのです。1升瓶は約20回も繰り返し使えるといわれています。当店は環境にやさしいリユース瓶の循環活動に今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。