当地は30年ほど前までは十数件の醤油屋があったほどの醤油どころです。それ以前はもっとあったように思いますが、確かな資料はありません。これは農村部の為、原料となる麦・大豆・塩が容易に手に入ることや西脇・加西の織物などの近代産業の好況によると思われます。しかしながら こうした農村市場を相手にした在地の醤油醸造家は大手の農村市場への進出や農村部の人口流失、醸造家の高齢化などのため殆どが廃業され当地においても醸造販売しているのは当店を含め数件になってしまいました。
醤油は元来、大変地方色の強い調味料です。各地域で作られた醤油は殆どその地域で消費される「地産地消」の大変性格の強い調味料なのです。(代表的なのが 南九州の黒砂糖の入った醤油や北九州の甘露醤油、愛知の白醤油や溜醤油など)当地は播州織の産地であったため九州地方との縁が大変深く結構昔から甘めの味付けを好む土地柄でした。そのため調味料としての醤油も自然と甘めの味付けとなり、旨みであるアミノ酸なども加えて、加西を含む北播磨地域の消費者の好みに合うよう醸造してきたようです。こういった甘く旨みが強い醤油は「混合醤油」と呼ばれ、今でも九州・中国・北陸地方では盛んに製造されています。当店は大変地域性の強いこの「混合醤油」をはじめ 「本醸造醤油」「さしみ醤油」「だし醤油」など北播磨の家庭や地域の味となる醤油を何代にもわたって作り続けています。
沿革
大正10年 1921
高橋庄吉(45歳)、次男利吉郎(17歳)親子が加西郡多加野村和泉701の自宅を改造して醤油蔵を建設。屋号は庄吉の名から「丸庄」としました。
昭和3年 1928
醤油蔵が火災。1万円の融資を受けましたが、2年後には返済を終えました。
昭和4年 1929
前年、醤油蔵が火災に遭いましたが、この年蔵人の努力で「全国酒類醤油品評会」で2等賞を受賞。この頃は木樽に入った醤油を、地元はもとより西脇・多可町へも峠の坂道を越えて配達しました。
戦時中 1945頃
醤油は配給統制品となり、当店は配給登録業者となりました。
昭和24年 1949
高橋醤油株式会社を資本金50万円で設立。 屋号は「ハナイズミ」としました。
昭和29年 1954
屋号を「サクライズミ」に変え、商標登録。この年、全国の醤油メーカーは約6000社ありました。
高度経済成長期 1970頃
播州織など地場産業の活況と共に醤油の消費も増大し、加西市でも組合加盟の醤油屋は11軒もありました。
昭和60年 1985頃
この頃を境に醤油の家庭消費量、メーカーの数は減少していきます。
平成13年 2001
醤油の減少をカバーする為、当社初の醤油加工品「そうめんつゆ」を発売しました。以降ぽん酢、だし醤油、卵かけしょうゆなど加工品を開発、販売。この年、全国の醤油メーカーは約1600社に減少しています。
平成22年 2010
製法、地元原材料にこだわった古式しょうゆの醸造を開始しました。
平成25年 2013
加西名産ハリマ王にんにくを使った「もろみにんにく焼肉のたれ」を開発。2年後、TV番組「青空レストラン」で全国に紹介されました。
平成30年 2018
新社屋・醸造倉建設の為 和泉町118-7へ全面移転。「高橋醤油工場直販所」を開設し、醤油ソフトクリームの販売を開始しました。
令和3年 2021
創業から100年目を迎えました。